やっぱり夏はすのこベッドだよな。これさえあれば日本の夏も乗り切れるって余裕で考えていた、当すのこベッド愛好会でしたが、2015年の夏は事情が違います。
雨は少ない。気温は高い。平気で35度超えする毎日です。
尋常じゃない暑さです。
夜でも暑いこんな状況の場合、ふとんの下に空気の通り道を作り出す「すのこベッド」の物理的なチカラだけではどうにも太刀打ちできません。
ここは化学の力で冷却することが必要です。
そんなわけで、巷には、いろんなクール製品が溢れています。
中でも、寝ているときの体感温度をさげてくれるとゆー商品カテゴリが「冷却マット」です。
電気も使ってないのに、なんで冷えるんだよと考えるあなたは正しいです。
昔からひんやりする布ってゆーのはあったんです。
でもこれは、普通の布よりも熱をすばやく伝えるってだけの話で、人間の体が常時くっついた状態になれば、熱を逃がしきれくなって、温度が上昇します。
最初に横たわったときに、あ、ひんやりするって程度ですね。
しかし、ここ数年、夏になると爆発的に売れている「塩を利用した冷却マット」は、冷やす原理が違うんです。
人間の体の表面温度は、約30~32℃。
んで、冷却マットの中には、この人間の体の表面温度に近い約30~32℃になると融ける塩類が入っています。
この塩類が融けるとき、周囲から熱を奪います。
これは、融解熱(ゆうかいねつ)と呼ばれている現象です。
昔、化学の時間に習ったはずですね。一定の量の物質が固体から液体になるとき、つまり融ける時には熱が必要。
たとえば、氷は、融解するとき(融けて水になるとき)に、1キログラムあたり約 80 kcal (333.5 kJ) の熱を周囲から奪います。
これは同量の水を0℃から80℃まで温めることができるほどの熱の量です。
冬山で遭難したときに雪を食べると体力を消耗して死ぬぞと山で言われるのはそのためです。
さらに。
氷に塩をかけると、0度以下の氷水ができます。氷水に塩が溶けると、水は0度でも凍らず、マイナス温度の水になります。これは凝固点降下と呼ばれます。
氷が水になるときに周囲から奪う融解熱と、塩が水に溶けるときに周囲から奪う溶解熱の相乗効果で温度が下がるのですね。
氷水に大量に塩を入れて、凝固点降下状態にして、砂糖水を試験管に入れてそこに割り箸を1本入れたものを零度以下になった塩水に入れて、アイスキャンディーなんかを作ったものですね。
そんなわけで、塩を使った化学的な力で冷却するのが冷却マットなんですね。
熱を奪うことによって融ける。放熱して再び個体になる。
その個体が再び融けて熱を奪う。このサイクルが続くのです。